お酒を飲んだ時や疲れた時などにいびきをかく人や、毎日のようにいびきをかく人もいます。眠っているため自覚しにくいのがいびきの困ったところです。
いびきをかくということは、空気の通り道である気道が狭くなっている証拠です。
喉の狭い空間を空気が通るときに気道の壁が振動して笛のように発生する音がいびきの音です。寝ているときは下も周囲の筋肉も力が抜けて重力によって下がります。すると狭い気道がさらに狭くなり、空気が通るときに震えていびきをかきます。さらに狭くなれば舌がくっついて気道がふさがり、呼吸がなくなる「無呼吸」になります。
〇無呼吸の状態
太っている人は脂肪がついてさらに狭くなりやすいですが、基本的には骨格の問題なので、痩せている人も同じです。そのため、いびきや無呼吸は太った中年の人だけでなく、顎の細い若い女性やこどもにも起こります。若い頃には筋肉に張りがあるため、いびきをかいても無呼吸にならないことも多いですが、加齢によって筋肉がゆるむと無呼吸になる可能性が高くなります。
仰向けよりも横向きに寝ると舌がずれて多少いびきが出にくくなりますが、どのような要因でもいびきをかく人は無呼吸になる可能性があるため注意が必要です。
〇睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠中に気道が50%以上狭くなり、血中酸素飽和濃度が3%以上低下することを「低呼吸」と呼び、完全に呼吸が止まった状態を「無呼吸」と呼びます。
低呼吸・無呼吸の状態では、空気が入ってこないので、体は酸欠状態になって苦しくなります。すると脳が体を守るために覚醒をして「呼吸をしなさい」と指令を出します。そのためSASの人は睡眠中に呼吸を止めて静かになったと思ったら突然「ごおーっ」という大きないびきをかく、ということを繰り返しているのです。SASの人は睡眠の質が低下して日中に強い眠気を感じるという症状がしばしば見られます。ただし自覚症状なので個人差があり、眠気を感じない人もいます。
また、低酸素により心臓に負担がかかると体の水分を尿として出そうとします。そのため夜間に頻繁にトイレに行くようになります。その他、無呼吸だと息を吐いて二酸化炭素を出させないために、早朝の頭痛も特徴的なひとつです。
よくいびきをかいていると指摘されていて、以下の項目に2つ以上当てはまる場合は専門の医療機関の受診をおすすめします。
・日中強い眠気がある
・夜中に何度も目が覚めてトイレにいく
・起床時に頭痛がある
・起床時、口が渇く
・顎が小さく面長である
・体重が増えた
・高血圧、糖尿病などの生活習慣病がある